サイコー君のくま父さん

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『売るが屋』 その11(完結)

  エピローグ

 夏休みが近づいてきた。売るが屋の店舗が少し移動する。同じ商店街にある店舗だが、今回は前店舗の倍以上の面積があり、おまけに二階付きだ。
 家賃が月に三万円ほど上がりリフォーム代に三十万近くかかったが、遠い目で見るとそんなに悪くない投資だ。
 スタッフのメンバーに変わりはない。ヨシオとサトシも真面目に仕事を手伝ってくれている。
 店の一階にはぼくと日向がいた。一階は主に買取作業を行っている。
 二階にはサトシが一頭で検品をしていた。什器や棚は余裕をもって配置しているため、体の大きいクマでも動き回ることに問題はなかった。
「――皆、聞いてくれ。ワシ、またいいアイディア考えたで」
 自信満々のご様子。ぼくたちは作業の手を止め、くま父さんに視線を集めた。
「いいアイディアって、またサブローさんにプログラム頼んだわけ? そういや由美子ちゃんがプログラミングのこと、そのサブローに教わりたいんだってさ。できる?」
「あいつ、けっこう忙しいからな。まあ、今度頼んどくわ。それより聞いてや。なんでスルーやねん。ワシのアイディア! オリジナル!」
 そう言ってくま父さんは体毛ポケットからカメラのようなものを取り出す。これ……なに?
「見たことないか? これな、チェキって言うねん」
「チェキ? ……あのインスタントカメラみたいなやつ? それを売るの? スマホがある時代に?」
「あかんなー。チェキはな、世界にたった一枚だけの画像が撮れんねや。プレミアもんやろ」
スマホの機能だけでいいんじゃない? 売れないと思うよ。まさかもう仕入れたとか?」
「ちゃうちゃう! 甘いねん、考えが。ワシはアイドルショップの経営を参考にしてみたで。ズバリ、チェキにサインをして、さらにプレミア感を出すってわけや」
「……誰の?」
「この店には看板娘が三人もいるやないかい。もしよかったらワシもチェキに写るで」
「日向たちをチェキで撮るの? ……で、それを売るわけ?」
「売ることもできるな。でもな、買取金額の代わりにサイン入りチェキをプレゼントってことにしたらどないやろ? そしたらタダで買い取った商品手に入るやん。まあ、オタクにしか通用せぇへんと思うけど」
 また変なこと考えたなぁ。商売に関してはホント抜け目がない。
「お前もけっこうかわいい顔してるから、腐女子とかにモテるかもな。まずは試しにお前、撮らして」
 カシャ、カシャ。
 ホントに撮ってるよ、このクマ。ぼくの写ったチェキなんて売れるわけないじゃないか。
「……よっしゃ、これでサブローにサイトいじってもらったら準備完了や。さーて、どれぐらいの買取の品が集まってくるやろ。ヒッヒッヒ」
 相変わらずだなぁ。でも、世界に一枚しかないっていうところは気に入った。
「くま父さん、チェキ貸して」
「なんや、ワシのこと撮りたいんか?」
「そう。……ありがと。日向、ちょっと来てよ」
 日向が来たところでぼくたちは顔を寄せ合い、撮影。――パシャ。
「お前、なに考えてんねん。三人が同時に写ったら、ターゲット層が絞られへんやないかい。クマもイケるし人間の男や人間の女でもオールOKとか、そないな性癖を持った奴なんておらんやろ」
こんなクマ、女子高生、男子高生のチェキとか、そないに範囲広い性癖持った奴なんてそうそうおらんやろ」
「これはお客さん用じゃないよ。ぼくたちの記念の写真さ。あははっ、くま父さん。口半分開いてるよ。日向もぽけーっとしてる。ははっ、やっぱり楽しいや。くま父さんと日向と……それに皆と一緒にいることが」
 商店街を走ってくる足音が聞こえる。二人分だ。千佳ちゃんと由美子ちゃんだろう。
 今日も明日も、この幸せは続くんだ。ぼくの高校生活は最高のものとなった。