サイコー君のくま父さん

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『ネクラだとなぜかモテるんです』 その7

  2 ふっきれた高倉さん

 ――ボクは今、高倉さんの家の玄関にいる。お見舞いが済んで、ちょうど帰るところだった。
「勇戸君……あの、本当に今日は来てくれてありがとうね」
「高倉さん、明日から学校へは来れるの?」
「うん、大丈夫。お母さんも……わたしのこと、わかってくれたようだし。でも本当は勇戸君が勝手にわたしのことをお母さんに話すから、とっても腹が立ったんだ。何、勝手に人のこと言ってんのよってね。……でも、それは勇戸君の優しさ。わたしはそれに気づいた。ありがとう……」
「ボクはそんな……」
 今度はボクが赤面する番だ。高倉さんにこんなかしこまってお礼なんか言われて……照れるじゃないか!
「じゃあ明日ね、高倉さん。学校で待っているよ」
「うん!」
 これで、よかったのだろうか。……よかったのだろう。
 高倉さん、本当に嬉しそうな顔をしていた。今まで我慢していたものが一気に解放されたような……。
 明日から本当の高倉さんが見られる?
 そう思うと楽しみで仕方がない。
 でも、何があってもボクがフォローする。例え、ネクラな遊びで周りから変な目で見られることになっても、ボクはずっと高倉さんの友達だよ!
 ……でも、できればその……それ以上の関係を求めてはいけないかな?

 ――翌日。
 ボクが教室に入ったとき、ある席に人だかりができていた。
 ……そこ、高倉さんの席だよね? まさか……
 ボクはその人だかりの方に向かった。やっぱりその中心には高倉さんがいる。
 一体何を……
「笑美。何よ、それ? 面白ーい!」
「へっへ、消しゴムのカスをまとめて定規で切ってるのよ。見て、何回もできるのよ。まあ、消しゴムのカスだからね。またひっついちゃう! このサクッて切る感触が気持ちいいんだ。ほら、やってみなって、定規貸してあげるから!」
 とんでもない話題になっている。
 まるで小学生……。
「やっ、勇戸君」
「あ、高倉さん。おはよう……」
「おはよう、いい朝だよね!」
 笑顔でそう言う高倉さん。……今まで見た笑顔の中で一番自然で輝いていた。そして、きれいだった。
 思わず、ドキっとしてしまった。笑顔でこの破壊力? すごすぎるよ、高倉さん。
 こんなんじゃあ、学校の男たちが高倉さんに惚れちゃうよ?
 彼女の周りはほとんど女子だったが、何人か紛れて男子もいた。皆、高倉さんに釘付けだった。
 完璧とも思える高倉さんに、こんな地味でかわいらしい趣味があるんだ。
 そりゃあ、グッとくるよね。これがギャップ萌えというやつか。もう皆が高倉さんの虜だよ。
「勇戸君。あなたのティッシュアート、わたしにも教えてくれない?」
「え、ティッシュアートを? ……こんなの覚えたいわけ?」
「うん。たまにね、外食したときに割り箸に入っている紙袋を器用に折って、いろいろ作ったりする人いるじゃん? わたし、そういう人になりたいのよ」
 なんと地味な目標。……でも、そういうのが好きなんだよね。
「うん、ボクでよかったらいつでも……」
「ホント? わぁ、嬉しい! じゃあ、お昼休み……ううん、もっと本格的に習いたい。放課後でどう?」
「うん、いいよ。それならゆっくり教えられるからね。えっと、じゃあボクの家にでも来る?」
「それもいいけど……あそこはどう?」
「あそこ……ああ、あそこね。わかった、いいよ!」
 高倉さんの近くにいた女子がこう言った。
「あそこって……どこよ、そこ?」
「勇戸君との秘密の場所♪」
「何、それって……うわー、やらしいんだ。あんたたちって、そういう関係? いつの間に?」
「あはは……」
 一日で人ってこんなに変われるもんなんだ。偽りのない自分。なんと素晴らしいことか。
 ……放課後がくるまで待ち遠しい。あの場所って旧校舎のことだよね。
 放課後、二人っきりかぁ。楽しみだ!

 ――そして放課後、ボクは旧校舎へと向かった。横には高倉さんもいる。
 ボクはブロック塀の穴に足をかけ、ジャンプ。きれいに塀の上に着地した。
「へぇ~、やるじゃない。うまくなったもんね」
「なかなかのもんでしょ? 高倉さんはどう? 二日も学校休んでいたから体がなまってるかも……」
「調子に……乗りなさんなっ!」
 彼女も軽々とブロック塀の上に登る。
 だが、ボクと決定的に違うところがあった。それは一度も手を使っていない。
 ジャンプをして、手を使わずにあの狭い足場に着地するなど、相当なバランス感覚がなければできなかった。もちろん、誤って落ちてしまえば大事故だ。
「うわ、もう無茶しないでよぉ~」
「これぐらいできて自慢しなさい。ふふっ」
 カニ歩きも慣れたもんだ。二人、同じリズムでブロック塀の上を歩いた。
「よっ!」
 まず、ボクが先に旧校舎に入り、続いて高倉さんが入った。
「……久しぶり。ここに来るのは」
「あ、でも前に来たことあるでしょ? 鬼門が学校を辞めてから。ボク、匂いですぐにわかっちゃった」
「ああ、あれね……勇戸君があまりにも熱心に何かをしていたから、声をかけるタイミングがわからなくて、そのまま引き返しちゃったわ」
「何かをって……何を作っていたのかは見ていないの?」
「うん? そうだけど……」
「そっか。なら、ぜひ見てもらいたいものがあるんだ。――ほら、教室や家だと部屋の大きさに限界があるだろ? でも旧校舎はボクたち以外は誰も使わない。旧校舎全部がボクたちが自由に使えるスペースさ」
「もしかして……そんな大きいものを?」
「うん。……でもちょっと恥ずかしいな」
「何が?」
「ティッシュアートなんだけどね、その題材が……」
「題材が? ……もしかして裸の女の人とか?」
「いや、そうじゃないんだ。まあ女の人には間違いないんだけど……その、女神なんだ」
「女神って……あの女神? 神様とかの? でも、別にそれって恥ずかしいことなんかないじゃない。十分、芸術っぽいと思うけど」
「モデルが……高倉さんなんだ」
「えっ?」
「さ、奥に進んで……そこにボクの傑作がある。実は今日の昼休みにできたばっかりなんだ。もちろん、誰にも見せたことはないよ」
 高倉さんがゆっくりと奥に向かって歩いた。
 一歩、一歩……まるでその先に宝物でもあるかのように。ちょっとずつ確かめては確実に近づいていく。
「あ……ああっ!」
 ……どうかな。気に入ってもらえたかな?
 高さは天井に届くかそうでないかというぐらい。女神の細くてしなやかな手。力強い猛禽類のような翼。
 清らかで美しい……その顔は高倉さんにそっくりだ。
「この……こんなきれいな女神のモデルが……わたし?」
「そうだよ。高倉さんをモデルにしないと完成できなかった。……ありがとう」
 高倉さんは涙で頬が濡れていた。
「ありがとう? わたしの方こそ、ありがとうよ。こんな素敵な作品……」
 一分か二分か……ボクたちは何もしゃべらなかった。
 二人はボクの作った高倉さんの女神に見とれていた。

「はぁー、なんだかまた元気なくしちゃった」
 高倉さんはため息をついて、そう言った。
「えっ、どうしたの……またボクのせい? 何か気に入らなかった?」
「気に入るも気に入らないも……最高よ、あの女神像。もう、本当悔しいぐらい」
「悔しい?」
「ネクラ遊びで、それもたかがティッシュなんかで芸術作品にしちゃうんだもん。これを嫉妬しない人なんている?」
「あ、そういうことね。はは、よかった。何かまずいことでもしたのかと思ったよ」
「まずいって。もう勇戸君からティッシュアート学ぶのやめようかな……こんなのわたしにできっこないよ」
「ボクも最初はうどんだったんだ……」
「うどんって?」
「ただ、ティッシュを細くちぎっていた。延々とね。でもそれが基本だったんだ。それから一枚のティッシュで鶴を折って、何枚かのティッシュを合わせて白鳥を作った。いきなりこんな女神様なんて作ったわけじゃない。高倉さんならきっとできる! だって頭もいいし、スポーツだってできるんだもん。いや、ボクのなんかよりもっとすごいのができるはずだ!」
「ありがとう。でも芸術作品って頭がいいとか悪いとか……そういうのってあんまり関係ないでしょ? その……感性というか、ある意味特殊な……変態的な人格がないと」
「変態的な人格? ははっ、ははは……何言ってるんだよ、高倉さん。はははっ!」
「こら、笑うな! だってそうじゃない。……わたしにできるかなぁ?」
「大丈夫だって。保証する! だって高倉さんも十分、変態的人格じゃないか」
 ポカッ!
 ……正直に言い過ぎた。時には言葉を偽ることも大事なようだ。

 この日から放課後になると、ボクは高倉さんにティッシュアートを教えることになった。
 そして、自分が意外にも器用だったってことを知った。何度も高倉さんがボクを褒めてくれると、そうなんだ……って気がして。なんだかとっても嬉しい!
 高倉さんのティッシュアートの飲み込みは早かった。
 初めボクも苦戦していた鶴でも、高倉さんは三日目で作ることに成功した。そのときの子どものように無邪気になって笑う高倉さんを、ボクは一生忘れないだろう。

 ――やがて一か月がたち、高倉さんとボクの技術的な差はほとんどなくなった。
「……いいね、その蝶。とても小さいのに、こんなに細かい……すごいよ」
「ふふ、細かいからピンセットを使っているわ。勇戸君の方はどうなの?」
「ああ、ボクは今、クマを作っている。シロクマさ」
「シロクマって、もしかして実物?」
「そう。はは、完成までティッシュ箱、どれぐらい作るんだろう。想像もつかないや」
「ティッシュ代だってバカにならないでしょ? ダンボールや新聞紙も使ったらどう? 今度、家から持ってこようか?」
「ああ、それもいいね。……ねえ、二人で合作しない?」
「合作って……何を作るのよ?」
「何でも……何か作りたいものある?」
「作りたいもの? 急にそんなこと言われても……」
「文化祭が十月にあるでしょ? そのときに見せたいんだ、学校の皆に。元ネクラな奴でもこんなことができるんだって」
「それなら、たくさんのネクラな人に元気づけてあげられるかも」
「でしょ? でも、テーマがまだ決まっていないんだ。何がいいんだろうね……」
「……自由」
「えっ?」
「自由よ。人間の一番大事なテーマじゃない。皆、自由のために一日一日をがんばっている。わたしも勇戸君も、自由になって人生が素晴らしいものに変わった」
「そうか……いいと思うよ。自由! 素敵じゃないか。で、それを形にするとしたら一体何が……」
「自由と言ったら、あれしかないじゃない」
「あれって?」
自由の女神
自由の女神……か。壮大だな。あっ、じゃあ女神の顔はまた高倉さんにしようよ、ねっ?」
「バカ! そんなことしたら世界の皆さんに失礼よ。わたしの顔なんて却下します!」
「そう……いいアイディアだと思ったのに」
「どうせ作るならさ、実物大にしようよ」
「実……ちょっと待ってよ! 本当の自由の女神像って、どれぐらいの大きさかわかってるの? たぶん、とんでもなく大きなものになるよ。とてもこの旧校舎で作るだなんて……それも二人で!」
「台座から、たいまつまでが約四十六メートル。パーツを細かくして、文化祭の早朝に組み立てたら、できるんじゃないの?」
「そんな簡単に……」
「いいじゃない、やってみようよ。ワクワクしない? わたしはワクワクするな。ね、やってみよう! 合作で作りたいって言ったのは勇戸君でしょ」
「ん、確かにそうは言ったけど……すごいね。ボクとはスケールが違う。やっぱり高倉さんはすごいよ。普通はこんなこと考えられない」
「じゃあ、やるってことね?」
「ああ……できるかどうかわからないけど、やろうよ!」

 文化祭まであと四か月。……四か月しかないのだ。
 さすがにこの大きさだとティッシュアートというわけにはいかない。
 かといって、本格的な材料を揃えたら、ボクたちらしくない。あくまでネクラの遊びの延長だ。遊びの芸術。ボクたちが目指しているのはそこだった。
 だから本当の芸術などは目指していない。
 ゆえに材料はダンボール、新聞紙、割り箸、紙コップ……で、やはりティッシュ。そういうもので作ろうと計画を立てた。
 一つのパーツが窓から出る大きさだと、パーツの数があまりにも多くなってしまう。
「これ、どうにかならないかな? こんなにパーツが多かったら、当日に組み立てるなんてできないぞ」
「そうね、何か手を考えないと……あっ!」
「何か……思いついたの?」
「自由よ。この旧校舎も自由にしてあげたらいいのよ!」
「それってどういうこと?」
 今は使われていない旧校舎の開放。
 確かにそれはいい案だ。でも、果たしてそううまくいくのか。
 ウチの高校も少子化の流れには逆らえず、年々生徒数は減少しているらしい。だから教室の数も足りている。
 旧校舎を開放すればそこに電気代や水道代がかかる。
 使い道がなければ開放は難しいだろう。一体、何に使うのか?
 それと、もし開放されたら、今こうして高倉さんと二人きりで会うなんてことできないんだよ。
 ボクはそれが悲しい。
 でも、それってボクの勝手なエゴだ。高倉さんをボクが独占していいわけではない。
 なんてボクの心は狭いんだろう。そもそも旧校舎の存在は高倉さんが教えてくれたんだ。
 だから、全ては彼女に任そう。彼女がそうだと言ったらそうなんだ。
 もうすでに大切な思い出はたくさんもらっている。これ以上何を望む?
 最高の作品を二人で作るんだ。それは一生の記念になる。
 作ろう! 全力で、自由の女神を!

 ――自由の女神の作成は思ったより困難を強いられた。
 一番辛かったのは暑さだ。まだ六月の頃は平気だった。でも七月になると気温は一気に上昇する。
 旧校舎は電気を止められているため、クーラーはもちろん扇風機さえ使えない。
 ボクと高倉さんは団扇を使ったり、ペットボトルに氷を入れて暑さと闘った。
 ……でもいいこともあったんだ。
 その、暑いって言って高倉さんがどんどん服を脱いでいくんだ。
 で、ほとんど下着姿になった。毎日じゃなかったけど、そういう日は全然作品に手がつけられなかったなぁ。
 そんなときに高倉さんは言うんだ。「何、さぼってんのよ。手、動かしなさい」って。
 ボクの目の前まで来てそう言うもんだから、目のやり場に困ったよ。パンツもブラもドアップで見放題だったからな。
 わざとやってるんじゃないかって思うぐらいだった。
 胸……けっこう大きかったんだよな、高倉さん。
 ボクしかいないからって油断しすぎだよぅ。

 夏休みもボクたちは学校に行った。
 たまに高倉さんのお母さんが差し入れしてくれたっけ。
 学校の外から物干し竿に飲み物とか食べ物が入ったビニール袋をひっかけて、直接窓から入れてくるんだよ。
 まるでギャグだよ。コントだ。
 高倉さんのお母さんもちょっと性格が変わったみたい。
 高倉さんから聞いた話だと、笑えないオヤジギャグなんかも連発するようになったんだって。おかしいだろ?
 でも、それは皆が明るくなったってことだ。よかったじゃない。
 そうそう、夏休みと言えばもう一つ面白いことがあったんだ。
 自由の女神を作るときに適した材料がないか、近くのホームセンターに二人で行ったときだっけ。
 ……誰に会ったと思う。
 なんとあの虎松鬼門に会ったんだ。偶然にね。
「ちょっ、おまっ、あいつ……!」
「げ……鬼門?」
 私服でちょっとよくわからなかったが、確かに鬼門だった。
 彼もホームセンターで買い物に来ていたらしい。
 ボクも高倉さんも思わず身構える。なにせ、二人ともこいつには因縁があったからだ。そう、ボクなんてとんでもない目に遭った。もう思い出すのも嫌なぐらいの……。
「おっと、笑美じゃないか。それに……陰見? だったっけ?」
「はぁ? あんたなんかに気安く名前を呼ばれたくないわよ。……こんなところで何してんの?」
「いや、ただの買い物。ここのホームセンターは広くて品揃えがいいんだ。地元のとこじゃあ、ないものもたくさんある。……なあ、お前らそんなに身構えるなって。もう俺は二人に対して何も思ってないから」
「本当? 勇戸君のことも?」
「そうだよ。でも、あっちの道には目覚めちまったけどな」
「あっちって、ホモってこと? ……最低。で、あんた、今何やってるの? 学校辞めてからどこかに転校したってまでは聞いたけど、まともに高校生活送れているの?」
「え? 気になる? おいおい、まだ未練があるのはお前の方なんじゃないか、笑美~」
「殺す、こいつ絶対ぶっ殺す! 見えない最速の蹴りで気づく間も与えないまま殺す」
 この目つき、本気だ。
 やめてくれ、こんなとこで騒ぎなんか起こしたら最悪、退学になってしまうぞ。ボクは高倉さんを止めに入った。
「高倉さん……! ダメだよ。挑発に乗っちゃあ」
「それはそうと、お前ら付き合ってんの?」
「「え?」」
 ……二人がフリーズしてしまった。
 そうだよな、これって一般的に言うデートだよな。
「ち、違うわよ! 買い物よ、買い物についてきてもらっただけ!」
 ……なんだぁ、違うのか。少しガッカリ。
「そっか、どうでもいいけどな。今、俺は恋愛なんか眼中にないから」
「っていうと、何かやりたいことでも見つけたの?」
「ああ、俺ね。株、やってるんだわ」
「株ぅ?」
「へへ、けっこう稼いでいるんだよ。高校を卒業したら、株で稼いだ資金事業もしようと思っているしね。青年実業家だよ」
 やっぱり鬼門はネクラなんかじゃなかった。バリバリの行動派だ。
「じゃあ、俺も忙しいからこのへんで。また会ったら声でもかけてくれよ。次は食事でもごちそうしてやる。あっはっは~」
 そう言って、鬼門はボクたちの前から去った。
 まあ、元気にしているってことはいいことだ。
「……わたしたちも行きましょうか?」
「え、うん。……どうしたの?」
「べっ、別にどうしたもないわよ! 中に入るんでしょ? ボンドとか糊とか……入るんならさっさと入れば!」
 ……えっと、いきなりツンになった?
 そんな赤くなって言われてもなぁ。さっき鬼門が付き合っているのかって言われたことを意識しているのかな?
 ボクも意識しちゃうじゃないか。なんだかお互い、ぎこちない。
 でも、新鮮な感じだった。付き合い始めて間もない、そういう気分……。
「ほら、早くぅ! もう、先に行っちゃうよ?」
「わ、待って! ボクも行くよっ!」